喪服日誌

唐揚げだけが人生だ。/@yuki_mofk

2016.07.26

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朝6時から駅のホームでは何かに憤っている老人の怒号が飛んでいて、活気のある町であることは明らかであるなと思った。5年ぶりに来た横浜は空が澱んでいて、電車の料金表を見たら真っ先に飛び込んできたのは山手線の緑の円だったので、東京都内の知らない駅に放り出されたような錯覚があった。横浜は中華街の顔しか知らなくて、歩道橋の下にコロニーを築くホームレスの姿や迷い込んだ地下道の独特の雰囲気は却って新鮮だった。乗換案内というアプリは本当に便利で、こんなに遠方にホイホイ気兼ねなく旅に出れるのもこの案内があってこそだ。それまで知らない土地の電車の類は恐怖の対象であった。平成に生まれてよかった。ちなみに知らない土地のバスには今だに不安で乗れない。異邦人とは外国人を指す言葉だけど、勝手のわからない土地に飛び込めば似たような立場に陥る。その土地の生活に馴染んでいる人からしたらなんの違和感もないが、知らない人間が出くわすと途端に困惑するようなものがいくつもあって(電車の仕組みとか方言とか食べ物の食べ方とか)、地域性というのは面白いなと思う。江ノ島に行った。島とはいえ陸続きなのだが、確かに少し異質な島民の暮らしがそこにはあって、僕は異邦人となり得た。10時半頃に開店していた店にふらりと入って、ぶつ切りの刺身と釜揚げのしらすが乗ったご飯を食べた。ビールも飲んだ。ビールの産地は新潟であったが、新潟県民が江ノ島という概念をビールに落とし込もうと見えない努力をしたのだろうからこれは江ノ島のビールなのだと思って飲んだ。産地のことについて考えたのはこのビールに限った話ではない(おいしい干物屋の安い干物は全て外国産だった、とか)けど、どこから産まれたものだろうがその場所で思い出に残ったらその場所のものとして記憶するから、そういう意味では産地にこだわることになんの意味もないんだな。くどくど書いているけれど、日記という形で冷静な視点で文に起こすから小難しいのであって、体感している時は何も考えていないので、僕と行動を共にする人は「あぁこいつはビールひとつ飲むのにごちゃごちゃと考えているのだな」とは思わないように。とにかく、今はそんな旅をしています。続く。