喪服日誌

唐揚げだけが人生だ。/@yuki_mofk

2017.08.17

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お盆の期間に休みが取れたので東京へ行った。観光地への期待をじっくりと貯め込む元気と余裕がなくて、他県への旅行は諦めた。東京に住んでいる知り合いは半数以上が帰省していたが、そうでない数名とコンタクトが取れたので、それでいいかな、という気分で東京行きを決めた。人に会うという目的だけで遠くの地まで行くことはおかしいだろうか。皆東京に何をしに来たのか、と聞くのだが、人に会うという行動は期待している回答ではないらしい。狭いカプセルホテルに泊まることも、面白そうなものを求めてただあてもなくさまよい歩く非生産的な散歩も、自分の中では意味のある行動で、普段の自分の生活圏内から飛び出して行うことは全て新鮮で楽しいと思えるから、目的なんて些細なことでいい。旅行の前後に似たようなことを毎回書いている気がするから旅行に対するあれこれはこんな感じで閉めておく。東京は暑かった。立っているだけで汗ばんで腕がぺたぺたした。後日地元に帰ると低気圧の到来も手伝ってとても涼しい風が吹いていたので、向こうの天気予報で不快指数なんて数字を出してとやかく言っていたことにも納得できた。お盆休みの最終日には浴衣を着て川原や美術館を歩いて、おしゃれな隠れ家レストランで贅沢なディナーを食べた。素揚げした野菜やペースト化した食材、蛇行したり円を描いて垂らされたドレッシング、幅広の皿、大体イメージ通りのそれ。それらのラインナップの締めに出された庶民的な冷やし鳥中華が一番美味しかった、というのが同席した恋人との意見の一致だった。おそらく二人とも庶民育ちの舌ゆえのこの感想で、逆に毎食こんなディナーを食べたいと言い出さなくてよかったなと思った。膨れた腹で車を走らせて、気まぐれに道を曲がってみたら正面の道の奥から打ち上げ花火が上がっていた。偶然にも花火大会が近くの町で行われていたのだ。急遽その出どころを目指して車を走らせることとなり、それは客観的にもドラマチックな選択だなぁと思った。打ち上げ花火がよく見える場所に辿り着くまでに花火大会はクライマックスに突入し、車を止めて外に飛び出した瞬間、ひときわ大きな一輪の花が空を埋めた。それは夏の終わりを告げているようで、それを裏付けるように、冷えた夜風が我々の浴衣を撫でていったのだった。夏バテしていた前の日記の反動ですんごいまともに日記を書いてしまった。